『雨を告げる漂流団地』つれづれ01

 『雨を告げる~』この奇妙で妙に記憶にひっかかるタイトルを命名したのはプロデューサーにしてツインエンジンのドン、山本幸治氏だとか。アニメファンとしてはどうしても同氏がチーフプロデューサーとして関わった『夜明け告げるルーのうた』(湯浅政明監督作品、2017年)を思い出さずにはいられない。この二作になにか共通点はあるだろうか?

 ストーリーはほとんどおぼえてない。ただ印象深くおぼえているのが…クライマックス、水難事故とおぼしき状況から主人公たちが人々を救い出すファンタジックなシーンだ。東北大震災の壮絶な記憶から6年、ああこれは鎮魂のアニメでもあったのだなと思ったのをおぼえている。

 翌2018年、やはり山本幸治氏プロデュースのもと制作された『ペンギン・ハイウェイ』ではクライマックスで ” 海 ” が崩壊し、住宅街の坂道をすごい勢いで水流がかけおりていく。すべて終わったあとの混乱と破壊(とみせかけた修復)に、おりしも西日本の各地を襲った豪雨被害のイメージがかぶったのは、もちろん偶然なのだけれど奇妙な縁だとおもった。

 さて、『雨を告げる漂流団地』だ。少年少女たちが決死の冒険のはてにたどりついた場所、青や緑の幻想的な光につつまれた古い建築物や廃墟が集合する異世界・異界の光景に、僕には東北大震災のすさまじい惨禍の光景がかぶって見えてしまった。作者である石田監督以下のスタッフに、そういう意図があったのかはわからない。ただ、そう見えた。